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    幾多の障害乗り越えてきた

    療だったという。 しかし、初代脊髄損傷科長の医師ルードウィッヒ・グッドマンは、手術をできるだけ避けてスポーツをリハビリの中心に据え、患者の早期回復、社会復帰にめざましい効果をあげた。男子陸上100メートル(切断など)の山本篤 「失われたものを数えるのではなく、残された機能を最大限に生かそう」 グッドマンは車いす患者にスポーツを奨励。52年にはオランダからの参加を得て「国際ストーク・マンデビル競技大会」に発展し、60年ローマでの初のパラリンピック開催に至る。 以上、日本パラリンピック委員会企画部、井田朋宏の論文『障がい者スポーツの50年』を参照した。 今では当たり前になったリハビリでのスポーツの活用は、導入までに幾多の障害があったと想像に難くない。まして競技大会開催なら…。 グッドマンがパラリンピックの父ならば、日本の障害者スポーツ生みの親は国立別府病院整形外科部長の中村裕。ローマ大会直前にストーク・マンデビル病院を視察、グッドマンから啓示を受けた中村は61年、地元大分で身体障害者体育大会を開く。当時障害者は体を動かさず、人目に触れさせずが風潮。「見せ物にする気か」と周囲の医師やマスコミなどから強い非難を受けての船出だった。 50年の歳月を経て「こんなにも変わるとは…」と井田は書き記す。6年後の日本社会はもっと変わっていなければならない。仁川での選手の活躍を見ていて心底そう思った。=敬称略(産経新聞特別記者・佐野慎輔)

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    川淵三郎の出合いと思い…

    サッカー協会最高顧問の川淵三郎は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会評議員でもある。つい先日、スポーツ議員連盟の国会議員たちの前でこんな話を披露した。 「1960年夏、僕は日本代表の一員として西ドイツに遠征した際、素晴らしい光景に出合った…」 その年、日本サッカー界は4年後に東京五輪を控えながら予選で敗退、ローマ五輪に出場できなかった。起死回生のためにドイツ人コーチ、デットマール・クラマーを招聘(しょうへい)、出会いを兼ねての遠征だった。 川淵はドイツ西部の工業都市、デュイスブルクでの思い出を語る。練習したスポーツ・シューレ(学校)は青々とした天然芝のピッチが8面広がっていた。それが後のJリーグ百年構想につながるのだが、「素晴らしい光景」と話すもうひとつの出合いは体育館にあった。車いすの人たちが歓声を上げながらバレーボールを楽しんでいる。「ドイツと日本のスポーツへの意識の違いを感じた」という。 当時の日本では障害者はスポーツはおろか外に出ない、いや外に出さない状況だった。西ドイツとの差は歴然としていた。 英国ではパラリンピックの前身、国際ストーク・マンデビル競技大会(ISMG)が開催されていたが、西ドイツでも障害者スポーツ大会が開かれていた。前者が車いす使用者限定競技大会であるのに対し、後者は全ての身体障害者が参加する大会。64年のISMG東京招致に尽力する国立別府病院整形外科部長の中村裕は、対立関係にあった両者の融合を目指した。 結局、車いす選手によるISMGを第1部、全ての身体障害者が参加する国内大会を第2部として「パラリンピック東京大会」開催を迎えた。あまり語られていないが、今のパラリンピックの原型は東京にあるといえなくもない。50年前の11月8日のことである。 川淵は言う。「ドイツをはじめ欧米では健常者と障害者が一緒にスポーツしているし施設もある。日本は初めから分けてしまう。それでは本当のスポーツ文化の醸成にならない。ルールなど進め方を工夫すれば少しでも前に進んでいく」 理事長を務める首都大学東京・荒川キャンパスの体育施設では融合に向けた取り組みを始めている。きっと組織委でも取り上げていくだろう。欠席や途中退席が目立った議連の会合、川淵の熱い思いを受け止めてもらいたい…。=敬称略(産経新聞特別記者・佐野慎輔)

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    激しい都市間競争を勝ち抜け 「TOKYO」アジアNo.1都市へ

    ake)作家。1976年、東京生まれ。早稲田大学在学中、『五体不満足』(講談社)が大ベストセラーに。スポーツライターとして活躍した後、東京都新宿区教育委員会非常勤職員や杉並区小学校教諭を歴任。2013年3月から東京都教育委員。

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    14年前から何が変わったか

    たときの切り抜きだ。 変色した新聞記事の中の私はステッドワードにこう聞いている。パラリンピックは競技スポーツ大会なのか、障害者のリハビリ・スポーツ大会なのか…。 「IPCは、オリンピックがそうであるようにパラリンピックをトップ選手が高い技術を誇る競技大会との見方をしている」 ステッドワードはそう話した。だが、私は意地が悪い。エリート大会なら改善すべき問題は多く、資金や施設に恵まれない発展途上国の選手は出場が困難だ。障害者のためのという視点が薄れていけば、弱者の切り捨てにつながりはしないかとたたみ込む。 1989年に創設されたIPCの初代会長は正面から受け止める。「障害度で多岐にわたるクラス分けの減少は必要、金メダルの価値も高まる」「ローカルレベルでの広がりのため、IPCは資金援助から技術や装備、組織づくりまで支援する」「重要事項は女性、重度の障害者、発展途上国支援。さらに紛争地域での被害者支援などオリンピックと違う活動をしていく」 オリンピックとの連動の始まりは88年ソウル大会、初めて同じ会場が使用された。以後競技性が高まり、98年長野冬季大会を経てシドニーで新時代を迎えた。IPCと国際オリンピック委員会(IOC)が連携で基本合意、ステッドワードはIOC委員ともなった。車いすマラソンの土田和歌子選手(左)とアルペンスキー女子回転座位の大日方邦子選手(右) 競技の普及には裾野の広がりと同時に、人気選手やスター選手の出現による押し上げ効果が必要だ。日本のパラリンピックは河合純一を先駆に成田真由美や土田和歌子、大日方邦子らの活躍で存在感が増し、今日車いすテニス界に国枝慎吾という偉大な選手が輩出。14年前の私のような疑問は抱かないかもしれない。 2020年へ、選手強化予算は文部科学省の概算要求に盛り込まれもした。しかし、今月5日の日本スポーツ振興センター助成事業審査委員会の席上、委員の一人、日本障がい者スポーツ協会会長の鳥原光憲が何度もこう念を押した。「アスリート助成ではパラリンピックを忘れずに」と…。 いわゆる心のバリアの解消も含め、ステッドワードが話した事柄の実現はいまだ道半ばである。=敬称略(産経新聞特別記者・佐野慎輔)

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    織田フィールドで考えた…

    こは日本一利用者の多い競技場なんですがねえ…」 受付の職員は所在なげに溜(た)め息をひとつついた。 スポーツの歴史を知る NHK放送センター隣にあるここは、正式名称を東京都公園協会代々木公園陸上競技場という。言うまでもなく代々木公園に併設された施設である。 表参道から延びる道路で公園と隔てられ、デング熱媒介の蚊は発見されていない。閉鎖対象でもないのに“被害”が及ぶ。情報の奇妙な広がりと過敏さを思わずにいられなかった。 もう「織田フィールド」と言って、すぐに反応する人は少なくなった。第一、冠の「織田」がわからない。織田信長と関係あるの?と聞いてきた女子学生には驚かされたが、織田幹雄を知らない。 1928年のアムステルダム五輪、織田は陸上競技三段跳びで15メートル21を跳んで優勝、日本人初の金メダリストとなった。 功績を後世に残すため、64年東京五輪選手村に併設された練習用グラウンドにその名を頂いた。飛距離は国立競技場フィールド内に立てられたポールの高さである。これらもまた大事なスポーツ遺産、しかし、それが必ずしも周知されていない。 大リーグのイチロー選手やテニスの錦織圭選手の活躍は歴史上の名選手に光をあてた。マスコミが取り上げたからだ。 幾度となくスポーツの歴史を知る楽しさ、歴史を語り継ぐ大切さに言及した。しかし小学校や中学校、高校の授業で取り上げられることは稀(まれ)だ。どの教科で教え、教材はあるのか…問題は少なくない。教える先生もいない。情報は蓄積され、伝達されなければ意味をなさない。織田幹雄と情報収集  64年東京五輪当時、織田フィールドは競技に臨む選手たちの調整の場として大きな役割を果たした。国立霞ケ丘競技場での本番に向け、ここで体をほぐし調子を整えていく。 と同時に、各国・地域選手たちがどんなトレーニングをしているか、調子はどうか、情報を知る場ともなっていた。 スポーツ写真のオーソリティーとして、60年ローマ五輪からオリンピック取材を続ける岸本健さんにこんな逸話を伺ったことがある。陸上競技日本代表総監督だった織田幹雄が、織田フィールドの近くに部屋を借り、調整にきた海外のコーチや選手たちを招き入れては情報収集に励んでいたという。「いかにも織田さんらしいでしょ」 そういえば1996年春、鵠沼(くげぬま)の老人用施設に住む91歳の織田に話を聴いた。1時間の予定が2時間を超え、心配した職員が幾度も顔をのぞかせる。かまわず織田は、金メダルは情報収集のたまものと話し、情報を得る重要さを力説した。懐かしくも、貴重な証言であった。 伝える大切さを思う 織田フィールドは64年、もう一つ大役を担った。パラリンピック、いや当時は国際ストークマンデビル競技大会(ISMG)の開会式会場である。 秋晴れの11月8日日曜日、皇太子時代の天皇、皇后両陛下ご臨席のもと、ISMG旗を先頭に大会22カ国・地域390選手が行進した。NHK厚生文化事業団制作の特集番組は、屈託のない選手たちの表情を映しながら言葉をかぶせていく。「華やかさも厳粛さもないが、明るく和やかな印象だ」 華やかさ、厳粛さはオリンピックとの比較だろう。実はこの開会式、招待者以外の観衆は存在しない。なぜなのか、明確な理由は知らない。障害者スポーツへの理解が足りないとの判断があったためだろうか…。 番組の中の日本人選手たちは朗らかな外国人選手と比べ、沈みがちに見えた。それが試合や交流を経て変わっていく。世界を知った喜びだったろう。 あの頃と比べ、日本での浸透は進んだ。昨年9月11日の招致決定後は記事も増えている。それでも、身体障害者スポーツの環境水準は欧米の比ではない。周囲の理解に加え、組織と競技の成熟度がまだ足りない。情報発信の不足は言うまでもない。 変えていくには訴え、伝え続けることが肝心だ。メディアの役割は重い。無人の織田フィールドを眺めながら、情報を扱う難しさを考えていた…。(産経新聞特別記者・佐野慎輔)

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    虎「打」とタカ「投」 投資の総決算

    日比野恭三(写真:iStock) あるプロ野球選手は、試合中、ベンチで選手名鑑を見てモチベーションを上げるのだという。なぜか? 名鑑には全選手の年俸が書いてあるからだ。 「アイツ、こんなにもらってやがるのか。絶対打ってやる!」 プロ野球界とは、残酷なまでに選手の「格」が年俸という数字に表れる世界である。二刀流で活躍する日本ハムの大谷翔平が高卒3年目となる来季には1億円を突破すると見込まれているように、年齢など関係のない非情な実力社会なのだ。相手がナンボほどの“給料”をもらっているのか、それは間違いなく選手を奮い立たせる燃料になる。補強に積極的な阪神、ソフトバンク 昨年の日本シリーズがまさに「格差」シリーズだった。 巨人が年俸総額38億円以上で12球団中1位だったのに対し、楽天は同18億円余りで第10位(年俸は推定、以下同)。たとえば第1戦の先発マウンドに立った楽天の則本昂大(1200万円)と巨人の主砲・阿部慎之助(現役最高額の5億7000万円)の対戦などは、年俸差47.5倍という途方もない開きがあった。 それでも第7戦までもつれたシリーズを制したのは楽天の方だった。もちろん田中将大という、のちにヤンキースと7年総額約160億円の超大型契約を結ぶことになる絶対エースがいたとはいえ、資金力の面から言えば、見事なまでの「下剋上」を成し遂げたシリーズだったのだ。 そして今年の日本シリーズには、セ・リーグからはCSファイナルステージでリーグ覇者の巨人に4連勝を飾った阪神が、パ・リーグからは同ステージで粘る日本ハムを振り切ったソフトバンクが出場する。ともに関西と九州に熱烈なファンを抱える人気球団だ。ソフトバンクは3年ぶり、阪神は9年ぶりの出場とあって、地元を中心に大いに盛り上がることは間違いない。 そんな両球団のもう一つの共通項が、特に近年、積極的に補強を行ってきたことである。 今季の年俸総額はソフトバンクが37億5100万円、阪神が31億8500万円で、これは12球団中2位と3位にランクインする(1位は巨人の45億1200万円)。昨季4位に沈んだソフトバンクは王座奪還に向けて次々と大物選手を獲得、年俸総額で約13億円を上積みした。阪神は昨季リーグ2位とはいっても巨人に12.5ゲームという大差をつけられた。やはり8億円以上の年俸を加算して今季に臨んでいる。 両チームの年俸総額には6億円近い開きがあるが、昨年の対戦カードに比べればその差はなきに等しい。今シリーズは大型補強を断行したチームどうしの、日本一をかけたガチンコ勝負と言えそうだ。阪神打線とソフトバンク投手陣が火花を散らす ここで、今シリーズで出場が予想される選手のラインアップを見てみたい。 まず野手について、年俸、今季成績、そして補強選手の入団年をまとめたのが表1だ。CSのスタメンを参考にして作成した(阪神のDHは独断で新井良太を選出)。表2の投手編は、先発が予想される4人と中継ぎの中心選手3人、クローザー1人の合計8人ずつを比較対象としている。 野手陣の年俸の合計額に大きな差は見られない。投手陣では阪神の方が高年俸だが、不調にあえぐエース攝津正(年俸4億円)が登板するとなれば一気に逆転する。出場予想選手の年俸対決は五分五分と見ていいだろう。補強選手の投資効果 だが「過去2年の補強選手」というフィルターをかけると、両チームの強化方針の違いが表れてくる。黄色で示した通り、阪神はこの2年で野手の戦力を厚くし、ソフトバンクは投手を大幅に強化しているのだ。つまり補強選手に限って見れば、西岡剛、ゴメス、福留孝介らの阪神打線と、中田賢一、スタンリッジ、五十嵐亮太、サファテらのソフトバンク投手陣とが火花を散らす構図が浮かび上がるわけだ。 彼らは首脳陣の期待の分だけ年俸も高い。補強戦力がその真価を発揮するのは果たしてどちらのチームなのか? そうした視点でシリーズの行方を見守るのも一興だろう。 レギュラーシーズンの成績に基づいた“投資対効果”を指標に、あえて結果を予想するとどうなるか。ソフトバンクの補強選手たちが年俸に比してまずまずの結果を残しているのに対して、出場24試合に留まった西岡と、104試合に出場して打率2割5分3厘の福留、この阪神の2選手に関しては物足りない成績と言わざるを得ない。 ならば「ソフトバンク有利」と言いたいところだが、シーズン終盤からCSにかけて、情勢は大きく変わりつつある。今季、西岡が欠場続きだったのは、開幕直後3月30日の試合で負った大ケガが原因だった。二塁後方への飛球を追って、右翼手の福留と激しくぶつかったのだ。開幕3試合目で年俸2億円の西岡が戦線離脱を強いられたのはチームにとっては大誤算だったろうが、CSでは本塁打を放つなどついに復活の時が訪れたことをうかがわせた。福留も、広島とのCSファーストステージ第1戦で前田健太から決勝のソロ本塁打を放ち、鋭い読みと勝負強さを随所に発揮している。今年の日本シリーズを制するのは、阪神か、ソフトバンクか…… (写真: Getty Images News) メジャー帰りという共通点をもつ2人は「期待はずれ」と批判の槍玉にあがることもしばしばだったが、過去、日本シリーズに複数回出場した実績があり、短期決戦の経験が豊富なのも事実。来日1年目で打点王に輝き、好調を持続するゴメスとともに、“補強打線”爆発への期待は高い。 一方、シーズン中は健闘してきたソフトバンク投手陣にはほころびが見える。象徴的なのはセットアッパー五十嵐の乱調だ。メジャーで習得したナックルカーブを武器に危なげない投球を続けてきた五十嵐だったが、オリックスとの優勝争いが佳境に入った9月25日の楽天戦で、まさかの5四球4押し出し(1イニングに4つの押し出し四球は60年ぶり、史上5人目のタイ記録だった)。その後の登板での不安定な投球内容から察するに、この時のショックはまだ完全には癒えていないと見る。先述の通り、李大浩と並んでチーム最高年俸4億円を受け取る攝津もシーズン最終登板で3回6失点、CSで2回7失点と絶不調にある今、低空飛行の「鷹」が牙を剥いた「虎」をおとなしくさせられるかは甚だ疑問だ。 もちろん、昨年がそうであったように、勝負は年俸で決まるわけではない。表には挙げなかったが、ソフトバンクでは飯田優也(育成選手2年目・年俸400万円で契約)、阪神ではルーキーの岩崎優(660万円)と岩貞祐太(1500万円)といった年俸の低い若手投手たちが一軍の先発マウンドを経験しており、彼らが1億円プレーヤーばりの大活躍を見せる可能性も十分にある。逆に、代打起用が予想される阪神の新井貴浩(2億円)などは、数少ないチャンスで存在価値を示したいところだ。 高給取りが底力を見せつけるのか、それともハングリーな若手が大物を食うのか。大阪と福岡、商人(あきんど)の街で繰り広げられる日本シリーズだけに、そんな“銭勘定”も観戦の楽しみの一つにしてはいかがだろうか。   

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    「カープ女子」の次は「オリ姫」! イケメン選手に女性ファン殺到

     開幕前の低い下馬評を覆すプロ野球オリックスの快進撃。前半戦44試合で100万人を超え、1試合平均2万2734人は前年同期と比較して16・2%増。この大幅増の裏側には若き女性ファン「オリ姫」の存在があった。 データを活用  夏休みに入った後半戦は客足がさらに伸びた。週末のロッテ戦は8月2日が3万1765人、3日も3万3989人と3万人を超すファンで本拠地の京セラドーム大阪は連日ほぼ満員。最後に日本一に輝いた1996年の179万6000人の球団最高記録を抜く可能性も出てきた。 「ここからが観客動員の“勝負のかけどころ”だと思っています」。山本康司リテール営業部チケットグループ長も鼻息が荒い。 観客の大幅増にはチームの快進撃はもちろん、昨年から本格的に活用を始めた「ビッグデータ」が大きく寄与している。 ファンクラブ「BsCLUB」の会員証はICカードになっていて、グッズやチケット購入、飲食履歴などをデータとして蓄積。性別、年齢別に分類しグッズや飲食の好みなどを分析、チケットセールスやイベントの企画、告知メールの文面までファン層に応じてアプローチを変えている。 こうしたきめ細かい対応がファンの満足度を高め、リピーターが増えた。新規加入も増え、ファンクラブ会員数は昨年比1・5倍の4万人に到達した。20~30代増加 特筆すべき点は「ウチが最も弱かった層」と山本グループ長が指摘する「20~30代の女性層」のファンクラブ会員が前年比5~6%増加したことだ。 ネット上で「オリ姫」「猛牛女子」とも呼ばれる若い女性。このファン層はお目当ての選手を追いかける傾向が強い。侍ジャパン(野球日本代表)の4番打者、糸井嘉男外野手(33)が日本ハムから移籍してきた昨年も女性会員が増える現象がみられたという。今季、金子千尋投手(30)、西勇輝投手(23)、伊藤光捕手(25)らイケメン選手の活躍、露出増の効果は大きい。ダンスで応援 データ分析による球団のマーケティング戦略も見逃せない。京セラドーム大阪ではフードメニューに女性向けのスイーツを今季から5種類増やした。 昨年12月には、伊藤捕手、海田智行投手とその当時は独身だった安達了一内野手の“独身・イケメントリオ”が登場する女性限定のクリスマスパーティーを開き、2部構成各30人限定の募集を掛けると、あっという間に完売。先月1~3日の楽天戦では、七回攻撃前に応援歌にのせグラウンドで踊るという企画を各日100人限定で募集し、全日完売。女性ファンの取り込みに球団挙げて取り組んでいる。 今後の重点試合はソフトバンクとの首位攻防戦。京セラドーム大阪では17日までと9月16~18日の3連戦が予定されている。いずれも優勝争いを左右する戦いだけに「じゃあ1回ドームに行ってみようという人も多いでしょう。そういう人たちが真のファンになってもらえるように引き込みたい」と山本グループ長。快進撃は最大のビジネスチャンスでもあるのだ。

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    銭ゲバ目線で考える日本シリーズ

    拠地を商都に抱える両チームのガチンコ勝負に注目が集まる。一方で激減した放映権料や選手年俸の高騰など「スポーツビジネス」としての課題も多いプロ野球経営。今年はいつもと違う視点で日本シリーズを楽しもう。

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    プロ選手の増加歓迎 経営の合理化必要に

     ◇小関順二(こせき・じゅんじ)  昭和27年、神奈川県出身。61歳。日大卒。単行本の編集者を経て、スポーツライターに転身。ドラフト戦略に着目するなどプロ野球に精通。著書に「プロ野球問題だらけの12球団」など。井箟重慶(いのう・しげよし)  昭和10年、岐阜県出身。79歳。上智大卒。平成2~12年、オリックス球団代表を務める。著書に「プロ野球 もうひとつの攻防『選手VSフロント』の現場」。関西国際大名誉教授。

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    カープ女子で経営安定の広島 マツダとの連携強化なら常勝か

    って出資していたように、多くの企業にスポンサー支援を仰いだほうが広島経済全体の活性化にもつながる」(スポーツ紙記者) 幸い、マツダは前3月期で過去最高益を計上するなど業績は絶好調。新型の『デミオ』が2014~15年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」に選出されるなど勢いづいている。 仮に、マツダがカープとの連携をさらに深めて積極的な財政支援を行えば、“常勝チーム”を狙う選手補強の原資にもなる。果たして、松田一族は「広島東洋カープ」の未来像をどう描いているのだろうか。 (2014年10月15日)関連記事■広島市民溺愛のカープうどん 2年前から「全部のせ」が登場■「カープ女子」の平均的プロフィール判明 26歳ラーメン好き■24歳美女「窓を開けて風を感じたい」とドライブデートを夢想■車メーカー・マツダのアルファベット表記が「MAZDA」の理由■「巨人の選手は東京ドームの本塁打の打ち方を熟知」と専門家

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    田中将大投手を襲ったケガの裏にあるもの

    日本人選手に肘の故障が多発するのはなぜか?玉村 治 (スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト) 大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースで鮮烈なデビューを飾った田中将大投手は、右肘内側側副靭帯の部分断裂で7月、故障者リスト(DL)入りした。昨年の東北楽天ゴールデン・イーグルス時代の24連勝に続き、前半戦だけで12勝と快進撃を見せつけていただけに、多くのファンは突然のニュースに驚かされた。肘の治療は自己血注射による再生医療が中心で手術を免れ、9月21日、ニューヨークでのブルージェイズ戦で復帰して75日ぶりに先発登板。6回1死までを5安打1点に抑え13勝目を挙げた。大リーグで現在投げる日本人投手では、松坂大輔(ニューヨーク・メッツ)、和田毅(シカゴ・カブス)、藤川球児(シカゴ・カブス)らが肘の手術を受けている。ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)も8月に肘の炎症を訴えてDL入りした。肘の故障はなぜ起こるのか、日本人投手に起こりやすいのか、肘痛を回避するにはどうしたらいいかを考える。腕の振りの加速が大きいほど肘にストレス図1 投手のしなりがもっとも大きい時(最大外旋位)に肩やひじには大きなストレスがかかる。最大外旋位は剛速球投手では150~160度を超えることがある。 (提供:筑波大・川村卓准教授) 「東洋人は肘に何か問題があるの」 日本人選手の相次ぐ肘の故障(痛み)に、大リーグ関係者の間ではこんな言葉がささやかれているという。しかし、肘の故障はアメリカ、中米出身の選手でも起きている。いいピッチングをしていた日本人投手が突然のように、肘の痛みを訴えて戦列を離れる意外性から発せられたものであり、それだけ日本人が活躍していることの証左である。投手にとって、肘の故障は、肩痛より起きやすいトラブルなのである。 では、なぜ肘を痛めやすいのか。それは、一連の投球動作の中で、前に移動する腰、肩、上腕(二の腕)と異なり、前腕(肘から手首)は後ろに取り残され、中でも上腕と連結している肘に大きなストレス(力)がかかるからである。 この力は、静止していたものが急に加速する時に働く慣性力(止まっているものはずっと止まり続けようとする力)だ。反力ともいう。停止した電車が前進するとき、乗車している我々が後方に倒される力である。図1を見て欲しい。 前腕が最も後方にしなっている状況は「レイバック姿勢」と言われ、前腕が後方に最も強く引っ張られる瞬間である。上腕の振りの加速が大きいほど、この力は大きくなる。大まかにいうと、剛速球投手ほど、腕のしなりは大きくなり、それだけ後ろに引っ張られる力も大きい。 この時、重要なのは、理にかなった投球動作をすることである。正しくないフォーム、例えば、肘が両肩を結んだ線より下がっていたり、前腕が肩から遠く離れすぎたりすると、肘への負担はさらに大きくなってしまうからだ。田中投手の肘の故障原因と治療法は? 田中将大投手が傷めた、内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)の部分断裂とはどういうものか。内側とは肘の内側というものだ(図2)。図2 内側側副靭帯のある部位(参照:『「野球医学」の教科書』(ベースボール・マガジン社) 上腕は上腕骨一つだけだが、前腕には尺骨と橈骨(とうこつ)という二つの骨がある。尺骨は手のひらを上に向けた時に内側にある骨で、この尺骨と上腕骨を結びつけているのが内側側副靭帯だ。この靭帯は、細かくいうと3つからなるが、投球で最も傷めやすいのが前束(前斜走線維)だ(図3)。正常な靭帯は、強固な線維の束となっているが、度重なる酷使で線維が切れてしまったり、ほぐれて広がったりしてしまうと痛みを伴ってしまう。注意しなくてはならないのは、痛みがなくても損傷は進んでいることがあることだ。図3 内側側副靭帯の模式図。青い矢印が靭帯の前束(参照:『カラー人体解剖学』(西村書店) 「最新のMRI(磁気共鳴画像診断)で判明することも少なくない」と筑波大附属病院水戸地域医療教育センターの馬見塚尚孝講師(整形外科医)は語る。馬見塚さんは、筑波大野球部部長を務める一方、『「野球医学」の教科書』(ベースボール・マガジン社)を執筆し、ジュニア野球選手の野球肘などの故障を回避するための指導法の在り方に一石を投じている。 田中投手の故障は、この前束の靭帯の部分断裂とされる。同じ部位を損傷した松坂、和田、藤川らが受けた肘靭帯再建術(いわゆるトミー・ジョン術)を選択せずに、自らの血液から血小板が多い部分を集めて注射する「多血小板血漿:PRP(Platelet Rich Plasma)療法」を選んだ。 この治療法を簡単に説明すると、①自分の血液を採取する ②遠心分離という方法で血液の中から血小板が多く含まれる部分を取り出す ③それを患部に注射する――方法だ。血液から取り出した血小板が多く含まれる液体は「多血小板血漿(PRP)」と呼ばれる。この中には靭帯修復に役立ついろいろな物質が含まれている。図4 肘靭帯再建術をした患部。内側側副靭帯を補強するように手首の腱(白い部分)を移植してある(提供:馬見塚講師) 靭帯再建術は、損傷した靭帯を補強するように手首や膝裏の正常な腱を切り取って移植する手法。試合復帰するのに1年から1年半近くかかることから、田中投手は、損傷の程度、チーム事情、個人の意思などからPRP療法にかけたとみられる。ただ、PRP療法は新しい治療法であり、どの程度復帰できるかは、まだ臨床研究の段階にある。原因の一つはスプリットの多投?図5 昨年と今年の田中投手の全配給の内訳(提供:フェアプレイ・データ) では、田中投手の肘痛の原因はどこにあるのか。さまざまな要因が考えられるが、日本のプロ野球の全試合を分析するフェアプレイ・データの石橋秀幸社長(慶應大スポーツ医学研究センター研究員)は、田中投手の「投球の組み立て」に注目する。 石橋さんが、田中投手の楽天時代の2013年と今年ヤンキースでの配球を分析したところ、スプリット(フォーク)の多投が顕著だったという。 全配球のデータからもそれが伺える(図5)。昨年は、①ストレート36% ②スライダー24% ③スプリット(フォーク)19%の順だったが、今年は、①スプリット(フォーク)26% ②ストレート22% ③スライダー22%の順に大きく変化した。 石橋さんは、「大リーグでは田中投手のような切れのある、スプリットを投げる投手は少ない。パワーヒッターが多い大リーグでも十分に威力を発揮しているため、キャッチャーもスプリットを中心に組み立てている」と指摘する。 その証拠に、今年は初球からスプリットを多く投げている。大リーグでは初球から積極的に打ってくるバッターが多いのと無関係ではない。 2ストライクと追い込んだ、投手有利な場面でもスプリットが目立っている。昨年は、こうした場面ではストレートを厳しいコースに投げていたとみられるが、今年はスプリットが多く、昨年のストレートがそのままスプリットに置き換わった形だ。早めに勝負球を投げ、球数を減らす狙いがあるとみられる。同じく1-1、2-2などの平行カウントでもスプリットと、ストレートの使用割合が日本時代と逆転しているという。 こうしたスプリットの多投で何が起きたか。田中投手は、ある程度深くボールをはさみ、指の間からボールを抜く感じで投げている。ボールをリリースした瞬間、腕には急ブレーキがかかるが、フォーク(スプリット)はストレートより大きな力でブレーキをかけなくてはいけない。 石橋さんは「フォークを多投する投手に聞くと、投げすぎると握力が落ち、手がむくむことがあったという。フォークを投げた時の肘には、ストレートより1.4倍も大きな力の急ブレーキがかかる(図9)。それだけ肘への負担が大きくなる。スプリットの多投は肘への負担を高めた要素の一つ」と強調する。図9 直球とフォークボールを投げた時、肘にかかる加速度。ボールをリリースした後、フォークを投げた時の肘には、直球の時の1.4倍も大きなブレーキがかかっている (参照:車谷洋、村上恒二、「フォークボールと肘関節障害」、臨床スポーツ医学 19-4)中4日の登板による疲労説も もう一つの要素と考えられるのは、中4日の登板による疲労の蓄積だ。田中投手は楽天時代、中6日で登板していた。この2日の違いは、休養の取り方、投球練習、筋力トレーニングなどの調整の内容、スケジュールに大きく影響する。 ダルビッシュ投手が「中4日では肘の炎症がとれない。もっと間隔をあけるべきだ」と主張するのは、この投球間隔がいかに過酷であるかを示す悲鳴にも聞こえる。 このほか、田中投手のフォームは、大リーグの固い、急傾斜のマウンドには向いていないという分析もある。 下の写真は、このコラム「楽天・田中将大投手 25連勝 強さの秘密」で紹介したフォームである。図10 楽天時代の田中投手のフォーム(提供:フェアプレイ・データ) 文句のつけようのないきれいなフォームであるが、松坂投手のけがの理由について解説した「ダルビッシュと松坂を科学する」でも触れたように、ステップ幅が大きく、重心が低く、体を前に送り出すフォームでは、大リーグの傾斜の高い、固いマウンドでは無理な姿勢で投げなくてはならない。肘への負担が大きくなってしまう。こうした大リーグのマウンドでは、ステップ幅を狭くし、踏み出した足を突っぱねるようして地面からの力(反力)を得て投球するのが理にかなっているのである。 しかし、大リーグ入り後の田中のフォームには、ほとんど変化は見られなかった。「大丈夫かな」と思っていた矢先のDL入りだった。 現在、リハビリ中の田中投手は、ビデオ映像を見ながらフォーム改造に着手した。従来のフォームでは肘への負担が大き過ぎると判断したのだろう。幸いヤンキースには、田中と同じような、重心の低いフォームから大リーグ型のフォームに見事修正した黒田博樹投手がローテンションの柱として健在だ。 石橋さんは「目指すべき姿、目標が近くにあることは大きい。3年目のダルビッシュやシアトル・マリナーズの岩隈久志投手らも大リーグにあったフォームに進化している」と語る。幼少期からの投げすぎが一因にも図11 野球で肘痛を発症した大学生の過去の既往歴との関係(参照:『「野球医学」の教科書』) 一方で、馬見塚さんや、筑波大の川村卓准教授(同大野球部監督、スポーツ科学)らは、「ジュニア時代からの投げ過ぎなどが今回の肘障害の背景にある」との見方を提示する。田中投手は中学時代にキャッチャーからピッチャーへ転向し、特に肩や肘を傷めたとの報告はなし。しかし、キャッチャーやピッチャーは、ジュニアではともに肘などの故障がダントツに多いポジションだ。 馬見塚さんは、「精密なMRI検査をすると、ジュニア時代に繰り返す軽微な肘痛の裏には内側側副靭帯の異常があることが多い。田中投手の場合、肘の障害のきっかけはジュニア時代の障害があったのではないかなど、過去にさかのぼって考える必要がある。これにメジャーでの慣れない環境、中4日登板などによって、疲労が十分に取れない中で、投球数の多さも重なって症状がでた可能性はある」とみる。 馬見塚さんによれば、大学生で肘の痛みを訴える人の86%はジュニアや高校時代などに肘痛の既往歴があった。大学生になって初めて発症するのは2%に過ぎなかった。発症しやすさは、過去に傷めたことのある人の方が既往歴のない人に比べ25倍も大きいことになる。 「つまり、大学生からの障害対策では遅い。もっと小さい時からの障害予防の取り組みが欠かせない。成人と同じような、勝利至上の野球は障害の要因になるだけだ。なぜなら、ジュニアと成人では骨や靭帯の発達が違うからだ。肘の場合、子どもは軟骨が多く、耐久性はない。指導法が異なることを指導者は知らなくてはならないが、まだそこまでいっていない」と語る。図12 子ども(10歳、左)と成人(27歳、右)の肘のMRI画像。緑色の矢印は軟骨を指す。青色の矢印は靭帯を指す。子どもは骨が発達せず、軟骨が極めて多い(参照:「別冊整形外科No.64」(南江堂))。投げ過ぎの基準は球数以外にも強度やフォームも考慮 馬見塚さんがもう一つ警鐘を鳴らすのは、「投げ過ぎが球数だけで考慮されている野球界を取り巻く空気」だ。大リーグでは先発投手の交代の目安は100球。青少年も「1試合75球以下、1シーズン600球」を推奨する野球ガイドラインがあるが、野球肘などの障害防止の特効薬にはなっていない。 日本でも同様の興味深いデータがある。小学生の投手149人を対象に、1年間追跡した調査で、1日50球以上投げていた62人中42人(66.1%)が肘などの障害が発生した。一方、50球以下の障害発生は少なくなったものの87人中25人(28.7%)が発症している。このことは「肘痛の減少に球数を抑えることは有効だが、球数を少なくしても、約30%が肘痛を発症していることは、投球数制限だけでは十分ではないことを示している」(馬見塚さん)。 では、何が重要かと言えば、投球の強度とフォームという。全力投球は肘に負担がかかることをこどもたちに教えることはとても大事である。そしてその指導は決して将来の投球スピードを減らすものではないことを知ることである。じっくり成長を待つことが大切だ。 また、ストレートの肘への負担を100とすると、カーブは91、チェンジアップは83と適切な指導を受けた場合変化球は決して負担の多い球種ではない。「学童野球ではチェンジアップなどを許可し、指導者講習会などで指導者に指導法を学んでいただくことも大事だ」と馬見塚さんは強調する。 もう一つは、肘や肩に負担の少ないフォームを身につけることだ。フォームが身についていないと、球数が増え、疲労がたまると投げ方が悪くなりがちだ。年齢に応じた筋力とスタミナをつけないと、フォームを修正しても昔の癖が抜けきらないことがある。 田中投手らが大リーグで活躍することは、未来を担う少年たちにも大きな夢となる。今後、田中投手の一挙手一投足には注目が集まるが、今回のDL入りは、日本、アメリカのプロ、アマチュア、ジュニアを超えて、改めて野球を冷静に見直す良い機会を与えてくれた。科学的に野球をすることの大切さだ。   関連記事■昨季の田中将大 投手酷使指数ではMLB先発投手の5年分に相当■マー君の故障 米では原因を日本での投げ過ぎに求める声強い  (ともに週刊ポスト 2014年8月8日号)

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    ビジネスとしてのプロ野球 ポストシーズン改革で収益改善を

    ばれる1カ月がはじまるプロ野球界。なぜ横浜ほどの市場規模がありながら球団経営が赤字なのか。プロ野球をスポーツビジネスとして捉えたとき、日本球界はまだまだ未成熟だ。クライマックス・シリーズから日本シリーズに続くこの1カ月間のポストシーズンをいかに収益化していくかが、今後のプロ野球改革の最重要ポイントである。 (2011年10月執筆)大坪正則 今年も日本プロ野球のポストシーズンがまもなくスタートする。元来、クライマックス・シリーズ(CS)と日本シリーズが行われるこの1カ月間は、日本のプロ野球(日本野球機構、以下NPB)のビジネスにとって最も大切な期間である。だが、実態は理想と掛け離れ、さらにはレギュラーシーズンの勝者を重視する一部の人からは「CSはやめるべし」との声も聞こえてくる。そのような考えには賛成できない。むしろ、CSの試合をもっと増やすべきだ。 ポストシーズンは面のビジネス プロスポーツリーグを構成する球団の収支は、図表にある主な勘定項目の増減の結果として表われる。収支を整えるには地方市場、即ち「点のビジネス」と全国市場、即ち「面のビジネス」の両立を図り、そして両市場から得た収入の範囲以内に支出を抑えなければならない。ポストシーズンは面のビジネス プロスポーツリーグを構成する球団の収支は、図表にある主な勘定項目の増減の結果として表われる。収支を整えるには地方市場、即ち「点のビジネス」と全国市場、即ち「面のビジネス」の両立を図り、そして両市場から得た収入の範囲以内に支出を抑えなければならない。 地方市場とは、フランチャイズ制の下で各球団に与えられた地域独占営業区域を指し、この地域ではチケットと球場内物品が販売される。球団が販売を独占するので、1人のオーナー対多数のファンの関係となり、オーナーによる「売り手市場」が形成される。 そして、テレビの電波は、フランチャイズ地域を越え、全国津々浦々、さらには全世界に届くので、全国市場を形成した。しかもテレビは、全国市場で販売・展開されるマーチャンダイジング(商品化)とスポンサーシップを牽引する。全国市場の管理は個別球団が行うよりもコミッショナー(または、1人の人物)に任せる方が効率が良い。ここでもコミッショナー1人に対して多数の契約候補者の関係になるので、「売り手市場」が形成されることになる。 プロスポーツリーグは地方市場と全国市場をそれぞれ1人の「売り手」の管理下に置くことができる。ビジネスの上で、これほどの理想的形態はない。 NPBの最大の問題は、そのビジネスが全国市場に広がらず、地方市場に留まっていることにある。(編集部作成) 日本では、1959年に後楽園球場で巨人対阪神の天覧試合が行われ、NPB人気を確固たるものにする一方、テレビ放送権が試合主催者である球団の管理下に置かれることになった。以来、一貫して巨人戦だけが地上波で全国放送されてきた。交流戦開催前までを例に取ると、各チームの年間ホーム試合数が70ならば、巨人に70試合分の、そして巨人以外のセ・リーグ球団に14試合分の放送権利料が入った。巨人との試合が無いパ・リーグ球団はセ・リーグ球団と比較して放送権利料収入が極端に少なかった。 この不合理はテレビ放送だけに限らない。球団が商品化とスポンサーシップを個別に管理すると、それらの権利は全国市場で成長・発展しない。全国市場で商品グッズを販売したいメーカーも、同じくスポンサーシップを展開したい大手企業も、巨人や阪神の人気が高いといってもファンの比率は20~30%が上限だから、契約することを躊躇する。巨人や阪神と契約した場合、70~80%のファンからソッポを向かれる可能性が高いからだ。したがって、NPBでは、全国市場の商品化とスポンサーシップが球団の収入に貢献しない構造になってしまった。結局、巨人中心のテレビ放送が、巨人に依存するセ・リーグと赤字体質のパ・リーグを生み出し、同時に全国市場の開拓がお座なりになった。収入増をもたらすプレーオフの長期化 米国では、62年、アメリカンフットボールのナショナルフットボールリーグ(NFL)が、コミッショナーの指導の下でテレビ局と地上波独占契約を締結した。コミッショナーによる独占契約は、後にメジャーリーグベースボール(MLB)など他のプロリーグでも採用された。 MLBの放送権の管理はNPBのそれとはまったく異なる。MLBは30球団で構成され、各球団は年間162試合戦うので、全ての試合を全国放送にすることはできない。全国に放送する試合をコミッショナーが選択し、残りは各球団の管理に戻される。各球団に地方市場での放送が許されるのだ。 このシステムでは、シーズン開幕から8月頃までコミッショナーの出番はない。なぜなら、フランチャイズ制の下では、ファンは地元のチームを熱心に応援するので、全国向けに放送をしても対戦する2チームの地元ファン以外は見てくれないからだ。全国市場に向かってテレビ放送が動き出すのは、優勝争いから脱落するチームが出始める8月頃からになる。優勝争いから落ちて行くチームを応援するファンの関心をプレーオフとワールドシリーズに惹きつけるために、地上波の全国放送の回数を徐々に増やすことになる。 商品化とスポンサーシップの収入拡大はテレビが牽引するので、MLBではコミッショナーがテレビに加え、商品化・スポンサーシップも一括管理することになった。これによって、全国市場のビジネス活性化のために、テレビ局、商品化のライセンシー、スポンサーなどのステークホルダーの協力を得て、全国規模でのプロモーションを展開できる準備も整う。8月頃からワールドシリーズまでが、ライセンシーの書き入れ時期になり、スポンサーはその間に大々的なセールスキャンペーンを行うのが慣例化する。その中心になるのが、シーズン終盤の優勝争い、プレーオフ、ワールドシリーズ終了までの連続した地上波による全国放送である。だから、戦力が拮抗して試合数が多くなり、そのためプレーオフの期間が長くなればなるほど収入増加に寄与する。参考までにNPBと米国4大プロリーグのプレーオフの組合せを別記する。 テレビ活用の上手なリーグと球団が潤い、テレビ活用に乗り遅れた所は売上が伸びない。現に、テレビ放送がMLBとNPBの経営の仕組みを決定的に違うものにし、今現在、大きな経済格差を生む要因となっている。 Forbes「The Business of Baseball 2011」によれば、MLB30球団の収入合計は61億3700万ドル。日本円に換算すると、約5000億円。一方のNPBは推定だが、約1200億円。球団当たりの平均収入が、MLBは約170億円、NPBが約100億円。この差が選手年俸の差となって表れ、日本人選手のMLB入りを促している。地域密着の営業で成果出すパリーグ 「親会社が、球団の当該事業年度において生じた欠損金を補填するため支出した金額は、広告宣伝費として取り扱う」(54年国税庁通達)の特例が日本の球団経営を甘いものにし、球団改革を遅らせたようだ。赤字を出し続けたパ・リーグでは、2リーグ制発足時の6球団の親会社が全て撤退し、総入れ替えとなった。 そして、04年大阪近鉄バッファローズの消滅が、他のパ・リーグ球団に大きな衝撃を与えた。親会社が赤字に陥り、その時球団が赤字であれば、球団が消えてなくなることを目の当たりにしたからだ。パ・リーグの球団は黒字に向かって改革を迫られた。だが、テレビ放送権が絡む全国市場の改革はセ・リーグ球団の了解を必要とする。セ・リーグの了解取得は至難の業、時間もかかる。そこでパ・リーグは地方市場からの収入拡大に着手することにした。 幸い、日本ハムが北海道に移転し、楽天が近鉄に代わり東北に進出、ソフトバンクがダイエーの商圏だった福岡を継承し、バランスの取れたフランチャイズを敷くことができた。これは、フランチャイズ制の利点の1つである地域密着の営業活動を展開できることを意味する。05年以降のパ・リーグの「元気良さ」は地域密着の営業が上手く行われている証であり、数字が如実に物語っている。 04年11月のオーナー会議でパ・リーグ球団の平均赤字額が32億2200万円と発表されたが、09年度には2球団が赤字だった(『AERA』10年11月29日号)という調査結果も出るようになった。親会社からの補填があった上での黒字だったかも知れない。それでも、観客動員数で見ると、実数発表が始まった05年と比較して10年は158万939人増の983万2981人となっている。赤字球団の減少が親会社からの補填に頼った結果だけでもなさそうだ。 パ・リーグは、6球団が協働して営業活動を行う会社を07年に設立し、パシフィックリーグマーケティング(PLM)と名付けた。PLMはホームページの作成、インターネット動画中継、リーグスポンサーの獲得などの成果を挙げており、今後も更なる業績拡大が期待されている。 一方、セ・リーグの観客動員数をパ・リーグの同期間と比べると、63万5451人の増加で、パ・リーグの半分にも満たない。フランチャイズの分布を見ると、バランスが取れていない。全国市場を優先して地域密着の営業が機能していない球団もあれば、東京及び近隣の都市に3球団が並存しているからだ。同じ日の同じ時間に、東京ドーム・神宮球場・横浜スタジアムで試合を行いファンの奪い合いをすることは、地域独占の観点に立てば、最悪の事例だ。関東以北に球団がないのもファン層が偏在する要因となっている。 現状打開は、全国市場のビジネスモデルを変えることだ。全国市場の管理を個々の球団から一括管理ができる1人の人物に移管しなければならない。それが達成できれば、球団の数を12から16に、更に16から24に増やすことも視野に入ってくる。全国市場が活発化すると、全国市場からの収入分配が増えるので、各球団の収支が改善される。ファン層と市場の拡大も期待できる。さらに良いことは、全国市場からの分配増加が各チームの「戦力の均衡」も促進できる。緊迫した試合が増え、これまで以上にファンを惹きつけることも可能となる。その中で核となって働くのが、MLB同様、シーズン終盤、CS、日本シリーズを連続して全国に放送するテレビなのだ。 以上のことから、CSと日本シリーズの地上波による全国テレビ放送の重要性が理解して貰えると考える。今NPBに求められるのはリーグ型経営の早期実現である。   

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    プロ野球球団は増やせるのか 経済学の「視点」改めて議論

     東京・銀座のランドマークである、ソニービルは入り口の一角で、サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会のダイジェスト版を4Kテレビで流したり、最上階のホールでは大型画面を用意したり、ファンの熱気に包まれていた。日本が1次リーグでの敗退が決まると、すっかり人波は遠のいた。 列島がサッカー熱に浮かされているとき、プロ野球交流戦は盛り上がりをみせ、巨人対ソフトバンクの最終戦で巨人の優勝が決まる劇的な幕切れとなった。 プロ野球の1リーグ構想が突然明るみに出て、紆余(うよ)曲折を経て2リーグが継続してから10年目である。あの時の真相を探ろうとする報道が相次いでいる。「アベノミクス」の成長戦略の立案に対し、自民党が球団を現在の12球団から16球団にする構想を打ち上げた。 改めて、プロ野球の「経済学」が論議されている。列島に球団の数を増やすことはできるのか、球団経営は親会社からの補填(ほてん)なくして自立できるのか…。 千葉に本拠を置くロッテと、福岡のダイエーを合併して、1リーグにする構想は実は、10年前ではなく、その前年に水面下で開始されていた。 オリックスの本拠地のネーミングライツ(命名権)を購入したソフトバンクの孫正義代表が、この年にオリックスに招待されて試合を観戦したのが、のちに2リーグを維持することになるきっかけだった。観戦直後にプロ野球の球団買収の意向を示した。 買収できる球団はどこか。情報を収集する過程で1リーグ構想につきあたった。球界の情勢に詳しい2人の友人から情報がもたらされた。 そして、球界再編騒動の2004年に入る。ロッテとダイエー、さらにオリックスと近鉄の合併構想までが明らかになり、選手会のスト表明にまで至る。 ダイエー本体は10月、産業再生機構の支援を仰ぐ。孫代表はその瞬間に、球団が売り出されると読んだ。急遽(きゅうきょ)、休日に呼び出され、福岡と東京で買収に名乗りを上げる記者会見の設営を命じられた。 ダイエーとの交渉を進めるなかで、突然のように西武から身売りの打診があったのに驚かされた。 球団経営の収入は、チケットと関連グッズ、飲食である。支出のうちで大層を占めるのが実は球場の使用料なのである。米国では自治体が球場を建設して、年間の使用料を1ドルにしているところもある。ネーミングライツも補填する。仙台を本拠とする楽天が早期に黒字化したのは、県営球場の使用料が格安であることが大きな要因だ。 福岡はかつて西鉄が、仙台は準フランチャイズだったロッテに去られた経験がある。市民は地元に球団が存在する意義をよく知っている。 プロ野球球団を増やせるかどうか。その方程式を解く鍵は、多くの否定的な専門家が説くような、選手不足や親会社の維持費の問題ではないと思う。(シンクタンク代表 田部康喜)※フジサンケイビジネスアイ 2014年6月30日関連記事■プロ野球 16球団に拡大するなら完全ウェーバー制導入すべき■プロ野球16球団構想に江本孟紀氏「アホとしかいいようない」■プロ野球16球団拡大プラン 集客考慮した「4地区制」の提案■アベノミクスで「プロ野球16球団構想」 現状は厳しいと識者