その後3年間は、中継ぎとしてまずまずの活躍を重ねた。2009年が8勝3敗10セーブ、24ホールド。2010年は4勝4敗5セーブ、21ホールド。クルーンが調子を落とすとクローザーに起用され、火消し役も担った。このオフに結婚を発表。

 クルーンが退団した2011年はクローザーの期待がかけられたが、開幕直後から調子を崩し、ファームで調整し直す期間も多かった。この年、3勝2敗11セーブ。42試合には登板したが、中継ぎエースと呼ばれる勢いは失われつつあった。

契約更改交渉を終え、会見する巨人・越智大祐投手(当時)
=2012年11月30日、東京・千代田区大手町
契約更改交渉を終え、会見する巨人・越智大祐投手(当時) =2012年11月30日、東京・千代田区大手町
 そして2012年、開幕直後に体調不良でファーム落ち。検査の結果、黄色靭帯骨化症という難病とわかった。6月末に手術。成功して8月末にはキャッチボールを再開。カムバックを期待されたが、ついに一軍復帰を果たしないまま2014年オフに戦力外通告を受けて現役を引退した。

 今回、週刊文春で報道された結婚詐欺疑惑の相手女性と知り合ったのは、2011年春のキャンプ時だという。皮肉にもそのころから越智のプロ野球選手人生は下り坂を迎える。その女性の証言によれば、背中に刺青もあった、違法な闇スロットにしばしば他の選手と通っていたと本人から聞かされていたという。野球少年たちの憧れ、小中学校時代から他の遊びに目もくれず、野球一筋に猛練習を重ねたものだけが到達できると信じられているプロ野球の世界。ところが、そこに到達し活躍を重ねる選手たちは、勝利の喜びや野球を極める感動では飽き足らず、キャバクラに通い、刺青に心を惹かれ、違法と知りつつギャンブルに向かう。一体、その心の隙の正体は何だろう?

 野球以外の経験がなさすぎるゆえの人間的な奥行きの浅さ、幅の狭さ? 幼いころから活躍し、ただ勝ってチヤホヤされることに快感を覚え、本当の野球の喜びを味わっていないのではないだろうか。プロ野球選手には、自分がお金を稼いで好きなことをするだけでばない、もっと大切な社会的な使命があることを我々メディアも含め、もっと真剣に共有することが急務だ。そうでなければ、本当に、自分の子どもには野球をやらせたくないと直感的に思う親がいっそう増えるに違いない。