石川遼と松山英樹、同じ時代に生きるプロゴルファーであることは間違いないが、二人を見ていると、別のゴルフの地平が存在するようにも感じる。メディアのアイドルであり、テレビ好きの中高年女性にも愛され、リップサービスとも聞こえる優勝予告を実際に体現して見せる石川遼。そのスター性、驚異的なドラマを演じてのけるカリスマ性には脱帽させられる。しかし、その「びっくり箱」的な天性は世界の舞台でも通用するだろうか。

男子ゴルフ・三井住友VISA大平洋マスターズ最終日 ホールアウト後、石川遼(左)と握手する、優勝した松山英樹(右)=2011年11月、静岡・御殿場市の太平洋C御殿場C
男子ゴルフ・三井住友VISA大平洋マスターズ最終日 ホールアウト後、石川遼(左)と握手する、優勝した松山英樹(右)=2011年11月、静岡・御殿場市の太平洋C御殿場C
 松山英樹は、むしろメディアには素っ気なく我が道を行く。メディアにバッシングされ、悪評を立てられてもさほど気にしない。メディアに媚びることもない。大事なのはメディアでなく、成績だと言わんばかりに、結果を出して無言の自己主張を続けている。結果の次に大事にすべきものがあるとすれば、メディアでなくファンだ。先の日本オープン最終日、表彰式のあと暗くなってもなお列を作って待つファン全員に松山はサインをしてくれたと、ニュースは報じている。

 現状を見れば、世界での実績、今後の可能性ともに、すでに圧倒的に松山が凌駕し、議論の余地もないように感じる。だが、松山が優勝を遂げた先日の日本オープンを観戦したゴルフ番組プロデューサーに聞くと、ギャラリーをより熱く沸かせていたのはいまでも石川遼だったという。種目は違うが、かつての王と長嶋、最近でいえば田中将大とハンカチ王子・斎藤佑樹にも重なる。

 松山に不安があるとすれば、左手首の状態だ。出場試合が少ないのは左手首を気遣ってのことかと心配にもなる。

 肉体が万全でさえあれば、今後松山が出場するメジャートーナメントの一戦一戦が優勝への期待に胸を躍らせての観戦になるだろう。石川遼が松山英樹より先にメジャー制覇すると断言する人は少ないだろう。よもや、ここでも石川遼はミラクルを巻き起こすのか? そんな不思議な天才を同期に持つ松山もまた幸せと言えるかもしれない。