宮崎 だから、靖國神社を焼き討ちして、国の英雄になろうとしたのかもしれませんね。裁判で有罪判決を受け、国外追放になって韓国に戻ったら、一躍、ヒーローでしょう。
 2011年には靖國神社に放火して韓国に逃げた中国人がいましたが、日本側の引き渡し要求に対して、「政治犯だ」という理由で韓国側が拒否し、結局、犯人を中国に逃がしましたからね。
 中国では、2012年に尖閣(せんかく)諸島へ上陸して日本の海上保安庁に逮捕され、強制送還となった香港の活動家が、帰国後に英雄扱いされたことがありました。尖閣の海域でわが海上保安庁の船に体当たりした暴力船長も、福建省に帰ると英雄扱いでした。
 そういう前例があるだけに、この全昶漢容疑者も、帰国したら大々的に褒めたたえられる可能性がある。実際、韓国国内でのネットなどでは「よくやった」という声が多いそうですから。

靖国神社の爆発事件で、麹町警察署を出る全昶漢(チョン・チャンハン)容疑者
=12月09日、東京都千代田区(鴨川一也撮影)
靖国神社の爆発事件で、麹町警察署を出る全昶漢(チョン・チャンハン)容疑者 =12月09日、東京都千代田区(鴨川一也撮影)
室谷 少なくとも、愛国者として扱われるでしょうね。そうすると、いろいろなところからカネをもらえる。
 韓国では昔の抗日テロリストたちを褒めたたえて、その孫や曾孫に政府が法律に基づいてカネを支援したり、利権を与えたりしているのです。たとえば、1932年の天長節(天皇誕生日)に上海の虹口(ホンキユウ)公園で行われた祝賀式典で、尹奉吉(ユンボンギル)という朝鮮人が演壇に爆弾を投げつけ、多数の死傷者を出した事件がありました。「上海天長節爆弾事件」です。後に外務大臣となる重光葵(しげみつまもる)はこの爆発で重傷を負いますが、演壇には民間人もいた。まさに無差別テロです。
 尹奉吉は逮捕されて死刑となりましたが、戦後の韓国政府はこのテロリストを「義士」として顕彰(けんしよう)し、その子孫に電柱広告の総代理店としての独占権を与えました。
 日本人を殺傷したテロリストを「偉い人だった」と持ち上げる反日教育を行い、子孫に利権まで与えるのですから、「それなら俺もやろう」と思う人間も出てきますよ。
 大学を卒業しても半数しか職にありつけない韓国で、「伍長で除隊」した者が職を得るのは大変なことです。犯行の底流には、そうしたことも確実にあると思います。
 それに、おかしいのは日本のマスコミですよ。大手マスコミはこの事件を、なぜか「靖國爆発音0 0 0 事件」などという名称で報じています。
 しかし、現実には4本の鉄パイプ爆弾があったわけです。実際には爆発しませんでしたが、まず爆発音を響かせ、人を誘い込んでから爆発するように仕掛けられていた。
 だから明らかに、「靖國無差別テロ未遂事件」と呼ぶべきですが、日本のマスコミはどうしたのか、「爆発音事件」などと矮小(わいしよう)化した名称で呼んでいるのです。しかも、検察にしても、起訴は建造物侵入容疑です。

宮崎 手口を見れば、かなり悪質ですよ。検察は「余罪の捜査に支障がありうる」として認否や動機について明確にしていないため、今後、新たな罪状が加わる可能性はありますが、このまま建造物侵入罪だけであれば、犯罪容疑としては非常に軽い罪です。2016年1月中旬の時点で言えることは、前科がなければ、いずれ釈放されるでしょう。起訴猶予にはならないとしても、略式起訴くらいで終わるのではないでしょうか。