声がかかるのは将来性のある若い選手だけでなく、中にはレギュラー候補としてベテラン選手の力を多く借りたいチームも出てくる。一種の争奪戦だって起きるかもしれない。自由契約になって年俸が上がる選手が出てきても不思議はない。

 一方、球団側も、チームに貢献してきたベテラン選手に、野球協約で定められた減額制限を超えた減額を提示して、選手やファンから反感を買ってきた。

第92条 (参稼報酬の減額制限)

次年度選手契約が締結される場合、選手のその年度の参稼報酬の金額から以下のパーセンテージを超えて減額されることはない。ただし、選手の同意があればこの限りではない。その年度の参稼報酬の金額とは統一契約書に明記された金額であって、出場選手追加参稼報酬又は試合分配金を含まない。

(1)選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円を超えている場合、40パーセントまでとする。

(2)選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円以下の場合、25パーセントまでとする。

 しかし、保有選手に制限があれば、割り切って契約を切れる。選手を切った理由が「年俸が高すぎる」だけなら、自由契約選手として市場に出し、再度獲得に乗り出せばいいわけだ。

 もっとも、この制度を実現するには同時進行していく課題もある。まず、各球団が確実に70人の支配下登録を確約すること。70人は最低限で、増やす分にはいくらでも構わないとして支配下登録枠は撤廃した方が、シーズン中に故障選手が多出したチームから獲得の声がかかりやすい。

 さらに、毎年のように保留枠に入るが、本人が思うほど出番のない選手も出てくるだろう。そこで選手会が求めているFA期間の短縮を容認すること。すでに各チームには余剰戦力がいないため、人的補償を撤廃して、FAの補償はドラフト指名とリンクさせるなど、さまざまな改革が必要になっていく。

 いずれにせよ、余剰戦力が出るということは、それだけでそのプロリーグは戦力均衡が保たれていない証しでもある。
新型コロナウイルス対策の入場制限が緩和され、外野にも観客が入った東京ドーム=2020年9月21日、東京都文京区(撮影・今野顕)
新型コロナウイルス対策の入場制限が緩和され、外野にも観客が入った東京ドーム=2020年9月21日、東京都文京区(今野顕撮影)
 フロント陣の努力や資金力の違いなどで実力差が生じるのは、ある程度は致し方がない。そうした差を選手が自発的に移籍して埋めていくことが、多様化するプロスポーツリーグの中で、プロ野球が人気を保っていく望ましい姿だと思っている。