今の内容のままでは、現役ドラフトは出場機会のない選手の救済にも、下位球団の戦力強化にもつながらない。だからといって私は、今のまま何もしないでいいとは思っていない。

 私の考える「移籍の活性化案」は、少し強引なものだ。それはシーズン終了した数日後に、各球団が支配下選手最大70人のうち40人、もしくは50人の保留選手名簿を提出し、そこに載らなかった選手は全員自由契約(FA)になるというシステムである。

 自由契約とFAは、基本的に同じ意味であるはずなのに、日本で自由契約というと「戦力外」、つまりクビというネガティブなイメージがある。だが、本当はFAと呼ばれて争奪戦の末に希望球団に移籍していくスター選手と同じで、契約を満了し、自由に移籍できる権利を得たことになる。

 解雇ではなく、自由の身であるわけだから、複数球団が興味を持っても下位球団が優先されるウエーバー公示と異なり、彼らは自発的に、より出番がありそうなチームを選んで移れるのだ。

 保留選手が40人の場合だと、FA選手の人的補償選手のプロテクトが28人なので、これに前年の新人選手、外国人、リハビリ選手などを加えたらだいたい40人。つまり、最近のFAの人的補償で移籍した選手、内海哲也投手(巨人→西武)、長野久義外野手(巨人→広島)、平良拳太郎投手(巨人→DeNA)、小野郁投手(楽天→ロッテ)はその枠から漏れて、おのおのが行きたい球団に移籍できたことになる。

 50人だと、高卒で入団した選手と大学・社会人を経由した選手とでは分ける必要があるが、入団2、3年目の若手選手もそこに加わる。ちなみにMLBのルール5ドラフトでも、契約してから4、5年の選手は指名の対象外にされている。

 この制度では、おそらく2軍選手やベテラン選手は不安を覚えるし、選手会も同様の理由で反対するだろう。

 しかし思うに、今のように5~8人程度の戦力外通告では、「使えない」とレッテルを貼られた選手らは、トライアウトをしてもなかなか移籍先が決まらない。それがペナントレースが終了した数日後に40人枠を発表するなら、そこに入らなかった360人(30人×12球団)、50人枠なら240人(20人×12球団)が一斉に市場に出るわけだ。これだけの選手が同等の扱いとなれば、自由契約選手の価値も上がるのではないか。
労組日本プロ野球選手会の定期大会などを終え、記者会見に臨む炭谷会長(右から2人目)=2019年12月5日、大阪市中央区(松永渉平撮影)
労組日本プロ野球選手会の定期大会などを終え、記者会見に臨む炭谷会長(右から2人目)=2019年12月5日、大阪市中央区(松永渉平撮影)
 なにせ50人枠でも、各チームは新たに20人もの新しい選手を補強しなくてはならないのだ。ポストシーズン中に行われる新人ドラフトで、すべての枠を補うのも可能ではあるが、ドラフト20巡目まで指名するのはあまり現実的とは言えず、全体の雇用は守られるも同然になるだろう。