先日にはJ1サガン鳥栖の運営会社サガンドリームスが、19年度に約20億円の純損失を計上したことを定時株主総会で発表した。これで2期連続の赤字だけに、先行きは暗い。

 Jリーグのチームの多くはシーズン終了に合わせて1月末決算にしているため、この決算数字は新型コロナによる影響とは関係がない。それでもこれだけ切迫した状況だと、今後も非常に厳しいのは間違いない。

 コンサドーレ札幌は、このまま自粛による試合開催ができないと、10月ごろに資金がショートすると語っている。こちらも経営苦境は新型コロナとは関係なく、以前から続いているものだ。札幌では、選手が自主的に給与の減額を申し入れるという事態にまで発展している。

 サッカークラブチームの収益構造では、営業費用の半分が選手の人件費で占められている。自主的な減額は大幅な選手の放出につながることを避けたいという選手側の思いもあるのだろうが、それにして不憫(ふびん)ではある。

 クラブチームの受難は海外でも当てはまる。4月には、ベルギーリーグで約100年の歴史を誇る古豪、スポルティング・ロケレンが破産宣告し、クラブ所属の日本人選手2人が契約解除となった。クラブは以前から資金繰りに悩まされていたそうで、そこにスポンサーになることが予定されていた中国の企業が新型コロナウイルスの影響を理由にスポンサーを降りてしまい、これがトドメとなってしまったようだ。

 今シーズンはともかく、多くのJリーグクラブが決算を迎える来年1月前後には、苦渋の決断をしなければならないチームも出てくるはずだ。

 Jリーグはこのような事態に、三菱UFJ銀行や商工組合中央金庫(商工中金)などからJリーグチーム向けの長期の融資枠を確保したと発表している。金額の総枠は非公表だが、これで、ある程度の突発的自体は避けられるだろう。それでも仮に試合が通常どおり行われるようになったとして、来年以降どうなるか、楽観視は全くできない。

 日本のクラブチームの事業規模は先ほど述べたように、年間の平均収入は約50億円程度だ。中小企業とまでは言わないが、とても大企業とは呼べやしない。もちろん、サッカークラブでなくとも、どの日本企業も先行きに対して不安を抱えている。そう考えるとコロナ禍における日本の経済環境は、多かれ少なかれJリーグのクラブのような状況かもしれない。
サッカーJ2のジェフ千葉対大宮アルディージャ、コロナ禍でのリーグ中断を経て再開されたリモートマッチ(無観客試合)=2020年6月27日、フクダ電子アリーナ(今野顕撮影)
サッカーJ2のジェフ千葉対大宮アルディージャ、コロナ禍でのリーグ中断を経て再開されたリモートマッチ(無観客試合)=2020年6月27日、フクダ電子アリーナ(今野顕撮影)
 それでもサッカーのクラブチームが単なる企業活動とは違うのは、「生死の問題より重要」と言い放つような、熱心なサポーターに支えられていることだろう。

 新型コロナウイルスを経験した日本社会は、今後「アフターコロナ」といわれる時代を迎える。厚生労働省は「新しい生活様式」を実践するように訴えている。

 「ボクたちが何かやり方を変えたりすることはあるかもしれないですけれど、Jリーグとクラブチームを愛する気持ちは変わらないでしょう」と、前述の古参サポーターたちは口をそろえて語った。コロナ禍で先行きが見えないプロスポーツ。しかし、それを応援するサポーターたちの存在は、Jリーグをはじめ、多くのプロスポーツが「必ずこの苦境を乗り越えていく」太鼓判となるであろう。