Jリーグからは「サポーターはスタジアムの周辺に集まらないように」とも呼びかけられている。欧州では無観客試合にもかかわらず、サポーターがスタジアムの外に集まって応援するという姿が多数見受けられたためだ。日本でも、Jリーグに先んじて再開されたプロ野球で同じようなことがあり、それを熱心なファンの美談のように取り上げた記事が批判を浴びたばかりだ。

 試合会場内外での横断幕も禁止されたが、この措置に浦和レッズが反対声明を出した。しかしすでに決定事項ということもあり、あっさりとその声は退けられた。

 それでも浦和は無観客試合をJリーグが定めた呼称である「リモートマッチ」を、独自に「ONE HEART MATCH」と呼ぶと表明した。その理由の一つに、かつて浦和が無観客試合をJリーグで「唯一」経験したためと当初説明していた。

 しかし、その無観客試合は、2014年3月に浦和サポーターがスタジアムに人種差別的な横断幕を掲げたことへのペナルティーとして科せられたものだ。それに、対戦相手として付き合わざるを得なかった清水エスパルスのことが忘れられており、私としてはトンチンカンな感じがしてならなかった。

 すると案の定、後日「浦和レッズは、『無観客試合』を経験しているクラブです」とクラブ側から訂正された。なお浦和の立花洋一社長は横断幕禁止の一件について、後にJリーグ側に謝罪している。横断幕の件についてはサポーターからの声があったのだろう。良くも悪くもサポーターとの協力関係が密接な浦和らしいと言えるかもしれない。

 他のサポーターにも、話を聞いてみた。彼は応援歴20年近くのベテランだ。

 「無観客試合は日本代表でもありましたよね。そのときに私の友人たちは、タイのスタジアムの外から日本代表を応援していました」。彼が話しているのは、05年6月8日にワールドカップドイツ大会予選として行われた北朝鮮戦のことである。

 この無観客試合の背景には、先だって行われた北朝鮮-イラン戦で、北朝鮮サポーターが判定への不服を理由に暴徒化し、集団で審判や関係者を襲撃しようとしたり、イラン代表を乗せたバスを取り囲んだことへのペナルティーだった。そのため本来平壌(ピョンヤン)で行われるはずだった試合は、中立国のタイで行われた。

 熱狂的な日本人サポーターたちはスタジアムに入れないことを知りつつ、それでも日本から駆けつけた。試合を見ることができないスタジアムの外から応援する姿は滑稽とも言えたが、国内では美談としても伝えられた。なおサポーターの中には、どのように忍び込んでいたかは分からないがスタジアムの屋根までたどり着いて観戦していた猛者もいたそうだ。

 「今回はさすがにスタジアムに忍び込むようなことはないでしょう。新型コロナが理由ですし、自分にも感染のリスクがあるので、さすがに皆おとなしくしているでしょう」と、先ほどの彼は言う。
エバートン戦でリーグ戦初先発したリバプールの南野(右)。前半のみで交代した=2020年6月21日、リバプール(共同)
エバートン戦でリーグ戦初先発したリバプールの南野(右)。前半のみで交代した=2020年6月21日、リバプール(共同)
 では、どうやって試合を見るのかというと、動画配信サービス「DAZN」(ダ・ゾーン)一択となるらしい。

 DAZNは英国に本社を置く、ネットメディアにおけるスポーツコンテンツのプロバイダーである。17年シーズンから10年間で総額約2100億円という前例のない巨額な放映権料でJリーグの全試合配信権を獲得して話題となった。サッカーはもちろん、バスケットボールやアメリカンフットボール、ゴルフにバレーボール、さらにはF1のようなモータースポーツやダーツまでをカバーする。スポーツのデジタル放送に関しては、まさにコングロマリット(複合企業)的存在といえる。