井上はMGCで完走した27人中最下位に沈んだが、世界のマラソンを席巻しているナイキの厚底シューズにチェンジ。ニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝)では最長の4区で17人抜きを演じると、設楽が保持していた区間記録を22秒も塗り替えた。ともに条件さえ整えば、ビッグチャンスを狙える位置にいる。

 他にも、昨年の東京で22・5キロ付近までトップ集団に食らいついた佐藤悠基(日清食品グループ)、昨年9月のベルリンで2時間8分56秒の自己ベストをマークした村山謙太(旭化成)らが高速レースにチャレンジすると予想する。

 なお、大迫、設楽、井上、佐藤、村山の5人はナイキ厚底シューズの愛用者だ。同シューズはニューイヤー駅伝で8人、箱根駅伝で12人に区間新をもたらしている。東京マラソンでは厚底シューズの新モデルが「登場」予定で、その威力が大爆発するかもしれない。

 少し悩ましいのが東京マラソンのペース設定だ。今回は世界歴代3位の2時間2分48秒を持つ前回覇者のビルハヌ・レゲセ(エチオピア)を筆頭に、2時間3分台が2人、同4分台が5人と、国内レースでは「史上最強」ともいえる海外勢が揃う。大会側は男子のペースメーカーを2パターン準備する予定で、ファーストは「2時間2分台」、セカンドは「2時間4分40秒~5分30秒くらい」のフィニッシュタイムをイメージしているという。

 ただし、外国人ランナーがペースメーカーを務める場合、予定通りに進まないことは珍しくない。設定記録突破を目指すには、どこで走るのかという「選択」もポイントになる。

ニューイヤー駅伝、4区で力走するMHPSの井上=群馬県太田市(代表撮影)
ニューイヤー駅伝、4区で力走する
MHPSの井上=群馬県太田市(代表撮影)
 大迫がシカゴマラソンで日本記録を打ち立てたときは、中間点を1時間3分04秒で通過して、25キロ以降にペースアップしている。終盤がフラットコースの東京マラソンでは、うまく高速レースに乗り、30キロまでに「貯金」を作る戦略が有効になる。

 ラストは「東京五輪」と「1億円」という二つのモチベーションがランナーたちのポテンシャルを極限まで引き出すだろう。「2時間5分49秒」以内を突破する選手は現れるのか。東京五輪を目指す日本人ランナーたちの激戦に刮目(かつもく)したい。