そして、「MGC3位」というアドバンテージを生かしてレースを進めることができるのもメリットだ。設定記録に届くか微妙な状況でも、自らレースを引っ張る必要は全くない。

 日本人トップ選手の背後について、悠々とレースを進めることができるのだ。当日の気象状況などを見て好タイムが望めないと判断すれば、「欠場」という選択肢をチョイスすることもできる。

 また、大迫のマラソンキャリアを振り返ると、17年4月のボストン(3位/2時間10分28秒)と12月の福岡国際(3位/2時間07分19秒)、18年9月のシカゴ(3位/2時間5分50秒)と19年3月の東京(途中棄権)と、1シーズンに2回のマラソンに出場してきた。今季は9月のMGC(3位/2時間11分41秒)を走っている。2時間17分30秒(6位)だった12月のホノルルは、本人がコメントしているようにトレーニングの一環だったこともあり、東京出場によりシーズン2回のリズムを継続した方が絶対にいい。

 マラソンは間隔が空きすぎると、レース感覚が鈍ってくる。本番を見据える意味でも、東京もしくは3~4月のマラソンを走り、8月の東京五輪というスケジュールがベストの流れになるだろう。

 東京マラソンは3年前にコースが一部リニューアルして、高速コースとなった。前回は中間点を1時間2分2秒、30キロを1時間28分16秒で通過し、優勝タイムは2時間4分48秒だった。冷雨の厳しい条件で日本人トップだった堀尾謙介(中大、現トヨタ自動車)は2時間10分21秒に終わったが、気象条件に恵まれれば、2時間5分49秒の設定記録をめぐる戦いは面白くなる。

 今回の東京マラソンは東京五輪だけでなく、日本新記録で実業団マラソン強化プロジェクト「Project EXCEED」の報奨金1億円もゲットできる。2本のニンジンがぶら下がっている状況だけに、ラストでは「未知なるパワー」が絞り出される可能性もある。
東京マラソンの出場者会見で、マラソンの日本記録更新に意欲を示す設楽悠太=2020年1月28日
東京マラソンの出場者会見で、マラソンの日本記録更新に意欲を示す設楽悠太=2020年1月28日
 東京マラソンには前日本記録保持者の設楽、18年アジア大会・金メダルの井上が出場予定。設楽はMGCで果敢な飛び出しを見せており、東京では日本記録の奪還を目指している。