各球団がチームとファシリティー環境を全国的に配備することで、大都市に集中しがちなプロスポーツチームを分散させ、地域社会にも積極的に開放する。こうして、地域社会への娯楽を提供するとともに、「遊び」と「するスポーツ」として野球人口増加を目的に、サービスを至上とするフランチャイズ型の球団経営を目指す。

 場合によっては、各地で運営されている独立リーグとの統合も考えられよう。チーム人件費は地域のフランチャイズを有するNPB球団が充当し、運営資金はリーグからのレベニューシェアで賄う構造である。

 スポーツファシリティー建設を促進させるためには、税制面での「支援」も必要となる。わが国のスポーツビジネスが発展しない大きな理由の一つに、莫大な税金支出からスタジアムが保持できないことにある。本来なら、スタジアムはスポーツビジネスの拠点となるはずなのに、わが国ではコストと捉えられてしまうのだ。

 したがって、ほとんどのスタジアムが行政からの「借り物」となり、十分なサービスを提供できない現状がある。東京ドームは巨人や読売新聞グループ本社と直接の資本関係のない株式会社東京ドームが所有しており、巨人戦での飲食や物販の売り上げが同社に計上される。

 賃貸料を支払った方が安いのか、固定資産税などを支払った方が安いのか、球団含めた親会社の経営戦略に委ねるが、スポーツチームがスタジアムを保持する理由は何も勝敗だけの問題ではないことも理解しなければならい。

 ところで、東京ドームには車いす席が何席用意されているかご存じだろうか。公式戦でたったの22席である。

 サンフランシスコ・ジャイアンツがスプリングトレーニングキャンプで使用する1万2千人収容のスコッツデールスタジアムでさえ、100席が用意されている。スポーツ先進国とは言いがたいスポーツ環境がわが国には普通に存在している。

 MLBでは、毎年ダイバーシティー・ビジネス・サミットが開催されているが、「The doors of baseball are always open to everybody.」(野球の扉は誰に対しても常に開いている)というメッセージが込められている。
プロ野球オーナー会議に臨む各球団オーナーら=2019年11月27日(長尾みなみ撮影)
プロ野球オーナー会議に臨む各球団オーナーら=2019年11月27日(長尾みなみ撮影)
 つまり、プロスポーツチームにおいても、社会的責任を果たすことが最大のマーケティングになる、このことをリーグ自体で公言しているのと同じだ。欧州のプロスポーツチームも、公共財として社会的連帯経済を基盤とするソーシャル・エンタープライズ(社会的企業)として、地域との関係性を高めながら人々の繋がりに貢献している。

 東京五輪の開催が迫る日本において、最も歴史と人気のある野球が、この国を豊かにしなければならない。その中核を担うNPBのマネジメントが今まさに問われている。