また、このデメリットはA代表にも波及している。ベネズエラ戦のメンバーは、キルギス戦から9人が入れ替わり、初招集も4人いた。森保監督としては彼らとコミュニケーションを取り、プレーの要求を行い、選手からも何かを引き出す必要はあった。

  しかし、ベネズエラ戦は1-4で完敗。「結果の責任については、準備の段階での私の選手、チームに対する働きかけだと思うので反省しないといけない」と森保監督は語ったが、そもそもU-22代表をはしごしたために、働きかけの機会が減ったのは間違いない。

 二兎(にと)追う者は一兎(いっと)をも得ず。兼任のデメリットが、A代表と五輪代表の両方で足を引っ張ったのが、11月の代表活動だった。

 単純に忙しすぎる、というのもある。12月から1月にかけての森保監督は、東アジアE-1選手権、U-22ジャマイカ戦、年始はすぐにタイへ移動してU-23アジア選手権と、合宿や試合ばかりで休みを取れていない。11月とは違い、スケジュールかぶりこそなかったが、これほどの忙しさの中で各チームの準備や分析に全力を尽くすことができたのか、その点も疑問が残る。

 ならば、やはり兼任は中止した方がよいのでは? というか、そもそも、なぜ兼任監督なのか。一度、兼任のメリットとデメリットを整理しておく必要がある。

 主な兼任のメリットは二つだ。

・A代表と五輪代表で選手が行き来しやすくなる
・複数のチームが一貫性を持ち、同じ哲学、同じコミュニケーションで指導できる

 一方、デメリットは既に述べた通りだ。

・監督が一つのチームに集中できない(スケジュールかぶり+過重労働)
2019年11月、キリンチャレンジカップ杯の前半、ベネズエラに4点目を奪われ、両手を広げるGK川島ら日本イレブン=パナスタ
2019年11月、キリンチャレンジカップ杯の前半、ベネズエラに4点目を奪われ、両手を広げるGK川島ら日本イレブン=パナスタ
 メリットとしては、「A代表と五輪代表で選手が行き来しやすくなる」ことが第一に挙げられる。過去の日本代表でも起きたが、別々の監督が率いると、各自が結果を出すために、選手の「綱引き」が発生してしまう。

 原則はA代表優先。ロンドン五輪では当時U-23世代にもかかわらず、ちょうどマンチェスターU入りの決まった香川真司(サラゴサ)が招集されなかったように、A代表優先の方針が貫かれてきた。