内海も長野も、2018年は奮起してまずまずの成績を残したとはいえ、動きから衰えは隠せない。それでも、西武と広島から請われて移籍するのだから、球界の人材活用という意味では喜ばしいこととも言える。

 その一方で、この騒動を通して実感したのは、「やはり巨人は『12球団の一つ』になってしまった」ということだ。

 巨人戦が全試合、地上波テレビで生中継され、翌日の学校や職場で話題に上る時代は、もはや過去のこと。教養感覚で巨人の結果を気にしていた層は、今や野球そのものから関心を失っている。

 野球ファンにとって衝撃のニュースであっても、長野を「ちょうの」と読めない国民がいても珍しくない現代では、日々目まぐるしくタイムラインを流れていくトピックの一つにすぎない。

 実際、アマチュア野球を取材していても、「巨人以外の球団には入りません」という選手は見当たらなくなった。かつては定岡正二(1975~85年在籍)のように、巨人からトレードされることを拒否して、現役引退するほどの選手もいたが、内海も長野も移籍を受け入れたように、現代ではそんな例は起こらないだろう。

 また、これは邪推でしかないが、かつての巨人であれば球団オーナーあたりが「人的補償のプロテクト枠が28人では少なすぎる」と訴えて、制度改正を促してもおかしくないようにも思える。そんな点からも、元巨人ファンとしては隔世の感を抱くのだった。

 むしろ違和感があるとすれば、原辰徳監督就任後の急速なフロント人事の変化である。もちろん、新監督がやりやすいようにサポートするため、チームをより強くするための判断だろうとは思う。
2018年12月、西武に移籍し、記者会見でポーズを取る内海哲也投手
2018年12月、西武に移籍し、記者会見でポーズを取る内海哲也投手
 とはいえ、ドラフト会議2週間前に編成トップのゼネラルマネジャーとスカウト部長を交代させたことは、理解に苦しんだ。球団主導の人事というより、新監督の意向に沿いすぎている感は否めない。

 ただ、昨年10月のドラフト会議で、1位の高橋優貴(八戸学院大)を指名した後は、育成選手を含めて9人連続で高校生を指名している。1位の高橋にしても「即戦力」というより「素材型」だけに、「未来を担う若い原石を育てよう」という球団としてのメッセージを感じた。巨人が球団主導で夢のあるチームへと強化していくかどうか、今後もひっそりと見守っていきたい。

 いずれにしても、元巨人ファンとしては、巷の話題にすらならない巨人を見るのは忍びない。巨人には2019年シーズン、そして未来の野球界、さらには野球に関心の薄い層の日常を揺り動かすようなエネルギッシュな戦いぶりを期待したい。