日韓併合はなぜ違法だというのか。韓国の主張は、1905年の第2次日韓協約を違法とし、それを前提にした1910年の日韓併合条約も違法としている。「日本軍の脅迫で成立したから無効である」との主張だ。判決は、この主張を確定した効果がある。

 文政権は、この判決が日本と北朝鮮の国交正常化交渉に大きな影響を与えるとわかっていた。日朝国交正常化交渉で、「違法な植民地支配」「徴用工への慰謝料請求」を北朝鮮に要求させる計算だ。日朝交渉が紛糾するのは確実だ。韓国は日本の北朝鮮進出を望まないからだ。また、日本が「不法な植民地支配」と「慰謝料請求」を受け入れれば、日韓基本条約の再交渉を要求できる。

 ところが、北朝鮮は韓国の「悪巧み」に気がついたのか、判決に沈黙を続けた。「歓迎」の立場を直ちに表明しなかったのは、韓国の「悪意」を見極めるのに時間がかかったからである。北朝鮮は、金日成(キム・イルソン)主席が日本帝国主義に勝利した歴史を「正統性」の根拠にしており、韓国のように「歴史の立て直し」を必要としていない。

 一方、韓国は日本と戦争し、勝利したわけではないので、「国家の正統性」にコンプレックスを抱いている。この心理克服のために「歴史立て直し」や「日本への勝利」を必要とする。だから、文在寅政権の「歴史見直し」戦略は今後も続く。「慰安婦財団解散」や自衛隊艦船の旭日旗掲揚拒否は、左派勢力が目指した「歴史立て直し」の3点セットであり、「対日勝利」のシンボルだ。

 日本政府や企業も記録や資料を隠すのに懸命で、戦う意欲がなかった。日本的な対応は韓国文化に通用しない。植民地支配への反省から、日韓友好のために経済協力や韓国支援を進めた日本の好意は無駄だったわけである。

2018年11月、シンガポールでASEAN加盟国の
首脳と会談する韓国の文在寅大統領(聯合=共同)
 韓国政府は日本と元工員に和解を呼びかけるだろう。和解文書に「判決を尊重する」との文章を入れさせ、「日韓併合違法」を日本が受け入れた、と主張する「悪巧み」を考えているだろう。

 隣国との関係悪化は望ましくない。歴史を振り返ると、およそ1300年前の白村江の戦い以来、日本は朝鮮半島に関与しては敗北の連続だった。ようやく朝鮮戦争になって、関与しないことで「経済特需」を得たことが、歴史の教訓となった。

 それまでは、中国が必ず介入する「半島の国際政治」を知らずに軍事介入し、儒教文化も無視してきた。だが、お節介と日本人の善意は押し付けでしかない。韓国大法院の判決は「歴史の教訓に学べ」と改めて日本人に教えている。朝鮮半島に深く関わると敗北し、裏切られることを忘れてはならない。